社長の思いつ記 2014.11

 皆様こんにちは。秋の行楽シーズンたけなわですが、御嶽山噴火のニュースには驚きました。そちらは大丈夫かとお見舞いの電話も頂きましたし、仕事のお付合い先では社員さんが行方不明なままだと知らされました。自然災害に抗う術など限られてしまいますから、ただただ畏敬の念とともに、「まさか」を思い抱いて生きていくほかないのかもしれません。

 さて、前回の元気ライフからこの2カ月、私の大きな関心ごとの一つは紛れもなく二年目の新人T君の減量作戦でした。実はT君、“入社内定の条件は減量”とするほどで、最終面接では「痩せられます」と答えてくれたのですが、入社時には更に成長してわが社にやってくることになってしまいました。

 さすがに、入社後も「減量した方がいいよ」と言ってはきたものの、人間よほどの転機がない限り、これまでを変えられません。彼の場合、転機は4月の社内研修でした。そのときのテーマは「計画」。「ありたい姿と現状のギャップを埋めていく=計画」の学びの中で、思い切って彼の計画の一つに減量を加え、皆の前で宣言をしてもらいました。6ヶ月で27.5Kgの減量計画(それでも私の1.4倍ですが...)。私は心を鬼にして、入社前の約束だったのだから、進退をかけて目標達成をするよう命じました。

 減量作戦は食事制限と軽めの運動を取り入れ、毎日その実施を記録し、月末レポートを支店長と私に提出することでスタートしました。「計画」研修の実践を「減量作戦」として実施するのですからT君にとってはもはや仕事の一貫です。ところが、4月から計画通り進んでいた減量が7月には足踏みを始めます。お盆休みや何やかやと8月も20日を過ぎたのにその状態は変わらず、残す減量は12kg、期限はあと一ヶ月ちょっとです。守られない約束をどう収拾したものか、私の脳裏には「マジ退職?」の思いがよぎりました。

こ うなると私も気が気ではありません。酵素食と姿勢矯正ストレッチによる健康ダイエットでインストラクター資格を持つ妻に「5週間で12kg、何とかならないか?」と応援を頼み込みました。彼女はT君の食事とエクササイズを見直した減量プランを作成してくれ、無理があってはいけないからと、彼女が指導を受けた東京の先生の下に彼を連れて行き、内容を確認して万全を期しました。ここに、T君の減量ラストスパートが始まったのです。

 彼女には毎朝エクササイズ後の計量報告が入ります。私も「今日は何kgだった?」と彼のメールを確認するのが日課になりました。振り返れば、足踏みを始めたなと思った時点で手を打てば良かったのです。時間だけは止まりません。放置した2カ月弱の取り返しにはそれなりの負荷がかかったことは実際のところでしょう。

 果たして、結果は…。期限を1週間残したところで彼は目標体重を達成することができました。約束の日には更に2kgほどの減量を果たして、この計画は達成されたのです。

 以前、『世界はことばでできている』という番組がありましたが、私は本当にそうだなぁと思います。今回の減量作戦は、計画として「口に出した」ことから本格的に動き出し、人を巻き込み、それぞれの関係者が責任を負って、ことを成していきました。ことばはとても大事で、口に出した時点で勝手に一人歩きするところもあります。ことばを受け止めた人たちは役割を果たしてくれ、そこに新たな気づきや意味を得てくれたり、それぞれの人の心に確実に新たな世界をつくり出していきます。今回の件でT君には以前よりは健康的になった自分のことばかりでなく、応援する人たちの期待や満足、安心の素にもなっていること、それぞれの新しい世界づくりのきっかけとなっていることも忘れないでいて欲しいな。   

              (プラスデコ代表:原田 学)