私のイチオシ、紹介します! 『木曜日にはココアを』

『木曜日にはココアを』 青山美智子(著)  出版社:宝島社

木曜日にはココアを 

マーブル・カフェという小さなカフェから始まる、12のとても短い物語がまとまった作品です。全話、色がテーマ。色の持つ意味を人柄や心理状態などを通して描かれ、やさしい感情が流れていくように短編一つ一つがゆるくつながっています。
カフェで働く青年の物語から始まり、その中に登場する誰かが次の章では主人公に変わる群像劇は、いろんな意味で読みやすいです。子供のお弁当に初めて挑戦する家事の苦手なお母さんの話や癖を直したい保母さんの奮闘記など、同じくらいの年齢の子供を持つ私は、共感でき強く印象に残っています。『人生は出会いからはじまる』という一文のとおり、人は必ず誰かと関りがあって人に影響を受けたり与えたりしながら生きていくのだとしみじみ感じました。1杯のココアから始まる涙あり悔しさあり、最後にはほっこり癒されるこの1冊。このご時世に、ぜひ読んでいただきたいです。

プレゼンター 高橋 達也