私のイチオシ、紹介します! 『あんなに あんなに』

『あんなに あんなに』 ヨシタケ シンスケ(著)  出版社:ポプラ社

あんなに あんなに 

どの人にも思い当たる「さっきまであんなだったのに、昔はあんなだったのに、もうこんな…」という経験。日常にあふれるたくさんの「あんなに」の中で成長する子どもの“あるある”な行動や場面をコミカルかつ繊細に描写された、くすっと笑えて、ちょっと目頭が熱くなる絵本です。

物語は、主人公の子どもがイヤイヤ期の代名詞とも言える、寝そべり攻撃でおもちゃをねだるシーンから始まり、自室のドアに「たちいりきんし」と紙を貼る思春期、キャリーバックを片手に巣立っていく青年期へと年月は移ろいます。子どもの母親の一面にも触れ、彼女の壮年期、中年期と歳を重ねた変化や、病院で涙をこぼすひとコマでは、ひとりの女性としての苦労が伺えるようで胸がぎゅっと締め付けられます。

今ある苦労も小さなことだと教えてくれ、何気ない毎日の大切さを気づかせてくれる一冊です。ポプラ社のHPでは、本作をまるごと読める動画が公開されているので、こちらもおすすめです。

プレゼンター 唐澤 恵美