社長の思いつ記
見方を変える力の醸成
皆様こんにちは。この時期にいつも思うこと、「今年は明けたばっかりと思ってたのに!」ある人によれば、時間が過ぎるスピードは年齢に比例するといいます。10才の子供が時速10kmなら、今年の私は53km。まさしく、そんな感じかも。
さて、当社は10月から新たな決算期がスタートし、10月22日に出発式が行われました。ここで私が伝えたメッセージは、「モノの見方を変えよう」「思い込みを捨てよう」でした。
「お客様のため」と言うわりには率直に顧客にお尋ねしていなかったり、ものごとを一括りにして理解したつもりになっていたり。括ってしまうことで、見逃している事実はきっと多いはずです。
「中国って」と括られるときにもほとんど良いイメージとして語られることがないので、私はムキになって、ある中国人社員さんの勤勉さ、前向きさあふれる中国企業の例などを引いて “そんなことはない”的な主張をしてしまいます。いずれにしても、ものごとを丸めて分かった気持ちになってしまうことは大きい罠の1つでしょう。
私が中国人社員さんに好んで伝える話の一つです。「彼らときたら、売れそうだと分かると ”早くよこせ ”と詰め寄ってくるし、逆に不景気だと契約を結んだにも関わらず、商品を引き取ろうとしない。税金をごまかそうと書類を2種類作るよう頼んでくる...」
この相手の国はどこか分かる?こう質問するとほとんどの社員さんが「中国?」と答えてくれるのですが、実は日本の商人の話なのだと種明かしします。これは日本資本主義の父と言われる渋沢栄一が明治末期に洋行したとき、英国の商人から「日本の商人は全く道徳がないから、信用できない」と痛烈に非難されたときの話で、「これはまずい」と危機感を抱いた渋沢が帰国後、実業界に向けて唱えたのが、有名な「論語と算盤」の思想です。道徳と経済を両立することの重要性を説き、日本の商人にモラルを植え付けようとした。しかもその道徳は中国の論語を手本として日本は学んできたのですよと。
日本では未だに「中国企業のモラル=悪い」のイメージがありますが、急速な経済発展による道徳的歪みに警鐘を鳴らすために中国政府は論語の重要性を唱えました。民間企業の間では論語ブームが起きたほどで、道徳的な内容の社訓を掲げる企業が多くなっているのは事実であり中国ビジネスの変質の表れでしょう。
これからの仕事の話に戻しますね。私たちには数年前に聞きかじった曖昧な情報を繋げて「わかった」気になる悪い癖があります。本当に大切なのは「事実はどうか。今はどうか、以前とは違うのか...」。
バレンタインデーのチョコレートは2月14日を過ぎれば正価での販売は期待できません。あるお店で、当日を過ぎても正価で販売できたのは、もれなく貼付した「遅れちゃってごめんねシール」でした。これは若い社員さんが、”あの人に渡すの忘れちゃった、マズイ!”の思いが端緒だったそうです。
収穫直前の台風で大きな被害に肩を落としたりんご農家が、残ったりんごを「落ちないリンゴ」として受験生向けに売り出して大繁盛となった例なども、一般論としての諦め=「もうだめだ」「無理だ」で括らなかったことがポイントとなっています。
残ったものに価値を感じてくれる人は誰か・どんな人か、に気持ちを向けたこと。
年をとって必然的に短くなっていく私の未来の時間。詰め込んだ分、私ってば「わかった」気になるパワーも人一倍。これってある意味不自由さに一直線ですよね。だから自由でいるための「思い込みの廃棄」「見方を変える力の醸成」は私にとってこそ大切。お客様の声を決して括らず、一つひとつのお声に敏感にしてお客様メリットある事業の開発に大いに自由でありたい。今期のスタートにあたって表明したメッセージは、私自信への注意そのものでもあります。
プラスデコ代表 原田 学
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