社長の思いつ記
自ら選ぶ自由
皆さんこんにちは。ジカ熱や治安の悪さが心配されたリオ・オリンピックでしたが、特段の騒動もなくリオらしい明るい雰囲気の大会でしたね。次は東京ということもあり、閉会式にも釘付けになりましたが、スタジアムに降り注ぐ雨によって消えてゆく聖火には、厳かな自然の力を感じつつお祭りが閉じる寂しさを、それに続いたサンバカーニバルの華やかさには”ここからが次のスタート”と奪い立つような素敵な閉会式でした。
栄光の影にそれまでの地獄のような練習と努力を選手が口にするたびに、私の努力や苦労など無いに等しいと思えるのは確かですが、元気をもらうという点では、先日訪問した染めQテクノロジィ社のこともお伝えしたくなります。
同社は「他のメーカーがやらないことをやる」をモットーのペイントメーカーで、今回新たな協業に向けて会社訪問を要請されていました。女性社員が多く、「多様な働き方実践企業」として登録されていて、私の中では大注目企業でしたので、営業に加えて顧客サポートチームの数名を帯同しての訪問になりました。
到着して目を引くのは社屋へのアプローチです。社員さんの手による駐車場のカラーリングにはじまり、来社された企業のロゴがアスファルトに塗装されています。社屋は日本では珍しくスケルトンで引き渡しを受け、中のも木工事や内装は大工さんの応援をえて自分たちで仕上げたと言うから驚きです。一見してはビジネスオフィスとは思えません。どこかの喫茶店か、はたまた学園祭に来たような雰囲気。ほとんどの什器は自社の材料で彩色がほどこされ、元々がどのような色であったか分からないと社員さんは笑って答えてくれました。来客に対しては、私たちの移動に合わせて部門ごとに起立してご挨拶下さり、オフィス中央にはカフェスタンドがあってお好みのドリンクをお客様に楽しんでもらう仕組みになっています。通されたテーブルには喫茶メニューが配され、着座早々に希望のドリンクを問われるのはこちらぐらいです。
社内見学と製品デモの案内は新卒で入社したばかりの女性スタッフが担当してくれました。社内には社員さんを紹介するパネルが展示され、どれもがイキイキとした笑顔のスナップとその仕事ぶりを伝えています。当社の顧客サポートチームメンバーはそれに見入って羨ましそうにしているのがすぐに分かりました。商品を展示するのは当たり前としても、それらを支える社員さんにもスポットを当てている点は見事というほかありません。
営業メンバーは同社の主力商品と新商品をラボで実際に塗布する機会を得ました。カタログや技術資料で多くを知っているつもりでしたが、実際に塗布することで、製品の使い方のコツ、塗り方による仕上がりの違いなどつぶさに理解できてしまいます。この手の機会はメーカー実演や一部の人による体験に終わりがちですが、今回はメンバー全員が体験できるようプログラムされていた点も「さすが」です。私たちの主たる機能は”モノを伝えること”なのに、最も伝え易い”体験コミュニケーション”を重視してこなかったこれまでが悔やまれます。
今年の入社の社員さんに同社を選んだ理由を聞いてみました。彼女はインターンを経験する中で、この会社ほど社員が行っている仕事をそのままやらせてくれ、失敗を受け止めてくれた会社は無かったと言います。染めQテクノロジィ社の自然体経営、それは身の丈経営とは異次元の自由さ許容する経営と言えるかも知れません。「他のメーカーがやらないことをやる」の目的に向かっては、自由ではあるけれど決して楽ではないはず。しかしまた、楽ではないけれど楽しい!がこの会社を取り巻いている。「お客様のため」を理由にたがをはめたり、生産性を理由にルールで縛ったり過去の失敗に怖い気づいたりする無用なエネルギーはいらない。
自由とはその目的達成に向けてのいかなる努力にも際限のないこと。それは必ず一人ひとりの成長と幸せにつながる道です。オリンピックもビジネスも、目標があるのなら自らのベストを自由に投じる。金メダルまでが地獄のような日々と思うことがあっても、それが自由の道を歩む一時的な見え方や感じ方ならそれも良し。目的や目標に向かい、自ら選ぶ自由を謳歌して時に苦しみ、進む。私たちもそんな人の集まりでありたいと切に感じた貴重な企業訪問でした。
プラスデコ代表 原 田 学
プラスデコのこと|社長の思いつ記
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