社長の思いつ記
準備は充分か?
皆様こんにちは。過去最長のゴールデンウィークはどのように過ごされたでしょうか? 休みに外を歩けば様々なサービスを利用しますが、そこに働く人の姿は確実にあります。コンビニの深夜営業にしろ休日のサービス業にしろ、それぞれが効果的で誰かにしわ寄せのいかない働き方についつい気持ちが向いていしまいました。
さて、このところ私が自問するのは"準備は十分か?"ということです。私が準備の考え方を改めるきっかけとなったのは4月の入社式でした。新入社員さんを迎える私のスピーチは、毎回必ず伝えている内容に加えて、激変する未来に向けて一緒に会社を作っていく、そんなテーマで具体的に話す予定でした。前夜までに草稿はまとめたものの、どこまで話そうか、分り易くするのに何のネタを持ち出そうかと迷いを残したまま私は準備を翌日に持ち越しました。明日は出社してから式まで2時間あると高を括っていたからです。
果たして、当日は朝から突発した仕事に手間取ることになりました。スピーチの内容を整理しようと考えていた時間はみるみるなくなっていきます。焦りはありましたが、目の前の仕事も片付けなくてはなりません。こんな状況のまま式に突入したのです。また、式に参列したメンバーで恒例の記念写真を撮りましたが、後になって新入社員の胸元に社章がつけられていなかったことを他の役員が指摘してくれました。
社員さんは私の話がどれほど準備不足であったかは分らないだろうし、社章をつけない記念撮影を特におかしいと感じなかったかもしれない。しかし、入社を歓迎し、心を合わせる大事な機会として、また彼らにとって人生一度きりの当社の入社式として最高と言えたか。もちろん私の答えはノーです。準備の甘さは新入社員への愛情不足ではなかったか。そう思った途端に申し訳ない気持ちで落ち込みました。
このように引っかかるのは私の息子もまた同日に入社式に出席しており、その会社の話を妻から聞いたからです。彼は入社の一週間前に会社に召集され、研修と合わせて入社式のリハーサルを入念に繰り返して行い当日を迎えたと言います。この会社が標榜するのは一発成功主義。「失敗は成功のもと」の言葉は確かにあります。しかし、最初から「失敗は成功の元」と思ってはじめる準備の先に成功はないと言うのです。“必ず一発で成功させる”こだわりがあれば、本番に備えて練習に練習を重ねることは当たり前だと思えるでしょう。運命を左右するような試験や重要な仕事を前にしたら、誰もがもっと勉強をする時間や準備をする時間を欲しがるはずです。 その会社が繰り返したリハーサルはそれを教えるための機会。この会社の社員育成への思い、愛情を感じる話です。
メジャーリーグ引退を表明したイチロー氏は「準備とは言い訳を排除してすることだ」と述べています。時間が足りなかった、予測していないことが起きた、こんな言葉がでるとしたら準備をしたとは言えません。言い訳をすべて排除できるほど準備に取り組めているか。これが“準備ができているかどうかのポイント”と言えるでしょう。 イチロー氏がヒットか凡打かで一喜一憂しないのは「これだけ完璧な準備をしたのだから、どんな結果に終わろうとも受け入れる」覚悟があるからかもしれません。景気がどうか、仕事の難しさがどうかとあれこれ言う前に、自分たちでできる準備を何度も何度も繰り返し、「絶対成功させる」の思いにこだわっていきたい。 私たちの責任で全うできること、それは完璧な準備なのですから。
プラスデコ代表 原田 学
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