社長の思いつ記
おもてなしと客ぶり
皆様こんにちは。当地の入梅入りは例年並みだったようですが、すでにゲリラ豪雨に見舞われた九州や、頻発する火山の噴火で避難生活にある方々などを思うと、相変わらずの異常気象、天変地異ぶりを感じずにいられません。他人事と高をくくらずに、我が家でできる準備を、平時と思える今こそしておかなくては…。
さて、最近私が感銘を受けたことばについて紹介させて下さい。(もうご存知の方も多いかも知れません)
茶道の世界には「客ぶり」という言葉があるそうです。これは、おもてなしをする主人側に対して、もてなしを受ける客側が、主人側を喜ばす所作や振る舞いをすることで、一緒にその場を作り上げていく関係として、受ける側にも良き客ぶりを示す力量が必要とされます。これにより「おもてなし」が完成し、主客ともに、和に満ちた時を過ごすことができるというのです。
おもてなしと聞くと、その精神性が日本人の心であり、東京オリンピック招致の最終プレゼンで滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」のジェスチャーとセットで私の頭に浮かんできます。おもてなしの完成が良き客ぶりによってなるとすれば、私たちが国内であろうと海外であろうと、様々なサービスを受ける際にどんな良き客ぶりを発揮できているかが問われているってことですよね。世界に発信されたこのプレゼンを、茶道的な真のおもてなしとして実践するとすれば、私にとってなかなかの修養になりそうです。
社員さんと顧客満足を学んでいた頃、こんなことがありました。顧客満足で知られた企業と言えばリッツカールトンやレストラン「カシータ」etc...、いつかはそんな企業の感動サービスを受けてみたいねと話すうち、リッツに泊まる社員さんがあらわれました。果たして、そのときの感想は、「自分には何も起こらなかった。あんなものなのかなぁ」でした。顧客満足って難しい!サービスを受けるコチラ側が、特別な誰かに起こったエピソードを学び、自分にはどんな特別なサービスが待っているのかを期待した時点で、どの顧客にも提供される高度なおもてなしには満足できなくなってしまう。というより、特別なサービスに気持ちが集中して、その他のおもてなしに気づかなかったのかも知れません。良き客ぶりが発揮できていたら、こんな上ぶれする期待を排して、考え抜かれたサービスを堪能し、印象もきっと異なるものになっていたでしょう。
ソムリエの田崎真也さんのコラムと記憶していますが、「サービスセンスあふれた人には、共通点がある。その一つは、サービスの達人であるとともに、お客様の達人でもある」とありました。お客様の達人とは、お店の人を嬉しくさせることができる人のこと。お客さんに優しくできて、気づかえて、最高の気分にすることのできる人は、自分がお客さんになった時も、お店の人を気づかえる。もてなす側を嬉しい気分にしてあげることで、相手もまた、あなたに、あるいはその他の人に「もっとサービスしてあげたい」と思う。これってまさに良き客ぶりの発揮ですよね。サービスセンスある人はサービスをして感動させ、サービスを受けて感動させる。常におもてなしの完成のうちにあるのです。
客ぶりの良さを発揮するために、私にできることを考えてみました。品物を受け取り、代金を支払う時には必ず「ありがとう」の一言を添える。そのお店や働く人の創意工夫を感じたら、そのおもてなしにも感想や感謝を伝える。お客の立場になって失う謙虚さが、気付く力をそぎ、感性も鈍らせてしまうなんてもったいない!
良き客ぶりとは、良き人生を生きる上でも大切な作法のように思うのです。
プラスデコ代表 原田 学
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