社長の思いつ記
人生を楽しめる働き方
初雪が早かったこの冬は大雪を心配していましたが、振り返ってみれば比較的穏やかな日が多かったような気がします。新年からここまでが猛スピードで過ぎていくのには焦りますが、楽しみな桜の季節はもうそこまで来ています。皆様はいかがお過ごしですか。
マスコミ記事から世の中が様変わりしたなと感じるのは働き方に関する企業側の姿勢です。地方経済にあっては一概に言えないと思いますが、大手を中心に景気はきっといいのでしょう。就職を取り巻く環境は既にバブルを超える売り手市場と言われていますし、求人に苦労する声はどちらでも聴かれます。その対策としても、職場環境の改善=働き方改革は求職者から選んでもらうためにも必要なテーマではあります。
昨年末だったと思いますが、経済誌に“サービス生産性 日本は米の半分”の見出しで、日本のサービス産業の労働生産性が米国の5 割にとどまるとする調査結果を発表していました。20年前の生産性と比べてもその差は広がっていて、卸売や小売業に限れば米国の38.4%の生産性に過ぎないという内容はショッキングでした。私が社会人になった30年前でも、給料を増やすためにわざわざ仕事を水増しする生活残業という言葉がありましたから、生産性を企業が真剣に引上げようとするなら残業抑制を含めた働き方改革はきっと大きな助けになります。
私は新入社員を迎える挨拶で、働き方について必ず述べていることがあります。「皆さんは一番入りたかった会社に入ったわけではないと思う。これからは会社を成長の手段として用い、転職を含め、自分がしたかった仕事ができるように励んで欲しい。私は、皆さんが自らの成長にとってこの会社が手段になりうる、居続けたい会社づくりを仕事とします。今日から私と皆さんの競争がスタートします」。私なりに、人も会社もお互いが共に必要としあうような働き方を決意しての言葉ではあります。
働き方改革で必要なのは生産性ですが、それを高めるには会社が何を捨て、何を求めるかしっかり定めなくてはなりません。これはきっと私の一番の仕事。社員さんが一所懸命に長時間頑張っている姿自体に安心し、労って報いる従来スタイルに未来はありません。量質転化という言葉があります。一定の量をこなしてこそ質が生まれるのは、おそらく原理原則と言えるでしょう。子供の勉強も習い事も量稽古が必要なときはあるはずで、私は訓練や反復が胆力の源泉の一つであると思っています。時短をめざす環境の中で、何を量稽古として課すかを決めることは重要なポイントです。一方で、一人前のプロとなるのに量以外の何が必要かと考えると、これはピンチの数かもしれない。火事場の○○力とはよく言ったものですが、ピンチこそ自分の気がついていない能力に気づく最大のチャンスです。安全圏で時間を過ごすより冷や汗握るピンチの時間=挑戦する環境を用意することもこれからのテーマでしょう。「私失敗しないので」という決めゼリフはドラマの中では痺れますが、水面下ではそのための挑戦と失敗が当たり前に許されなくてはなりません。一人のプロとして腕を磨く限り、必ずやチームも会社も、他社さえも必ずその人を頼りとします。そうなったとき、世の中に貢献できるプロとして仕事はもちろん、人生も楽しめると思うのです。
「嫌いな仕事も続けるのが大人」ではなく、「嫌いだと思っていた仕事が、知らず知らずに好きなる、あるいは知らず知らずに不要にするのが大人」。そんな我が社の働き方改革を進めていきたいと考えています。
プラスデコ代表 原田 学
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