社長の思いつ記 2024.11

皆さん、こんにちは。スポーツの、行楽の、食欲の、ともかく堪能できる秋を楽しんでいらっしゃいますか?
当社グループは10月に恒例の出発式や方針発表会があり、秋は出発の秋でもあります。

今年の出発式では、30年前に私が入社したときのことを少し振り返りました。それは最近になって見つけた、「学へ、入社心得」という文書の内容です。私は入社する時にはこの文書をもらっていません。おそらく父が渡そうと思ってまとめたものの、どこかしっくり来ないところがあったのか、渡さずじまいになったのだと思います。とは言え、書かれていた多くは一緒に仕事をする中で伝えてもらっていたことです。その中から、私もまた次の世代にそのまま伝えてあげたいと思うことをいくつか紹介させてください。

人に優しく自分に厳しく 誰にも区別のない人間的挨拶をする
自分が苦しいときでも顔や態度に表さない

これは相手が誰であれ、どんな立場の人であれ、区別のない挨拶をしなさいということです。また、簡単なことではありませんが、自分が苦しいときでも顔や態度に示さないで人に優しく接することは、そうすべきことだと思います。経営者からすれば社員さんや出入りの業者さんは立場が下と見えるかもしれませんが、この心得にある人間的挨拶とは立場に関係なく、人として対等に、また公平に挨拶することを説いています。自分の感情や状況、立場に関係なく、相手を思いやって挨拶をすることは人間形成の礎だと思いますが、冒頭にこの一文が掲げられたことを私は胸に刻みたいと思っています。

間違いは誰にもある 間違いに気づいたら素直に謝り理屈を言わないことが大切 
時間が経っても気づいたら誠意を持って誰にも公平に謝る

私を振り返ってみると、間違っても仕方ないと相手に思ってもらうような言い訳を、つい、つけています。一度謝ったことを、他の人に対して同じように間違うこともあります。この心得にあるほかの一つには、二度同じ間違いを犯すなら反省したとは言わない、というものもあります。私自身が不完全で間違うということを念頭に、間違った時には二度と間違わない努力をすることや、誰かが間違ったときには人を責めず、二度とは間違わないよう応援をするなら、間違いには双方にとって意味も価値もあると思います。最近ある取引先から、取引を停止されるようなルール違反が社内に起きました。失った信頼は二度と取り戻せませんし、どう襟を正しても取引を再開できるわけでもありません。私たちには、それでも信頼を取り戻そうと今まで以上の努力をすることしかできませんが、間違いを正すとはそういうことなのだと思います。間違ったり、迷惑をかけることは仕方がなくても、それを、正せる人になれ、正せる会社にしろと言われているのだと思います。

最後に、これは当社の出発式で取り上げた、「仕事に人をつける 仕事を薄めてはいけない」です。 仕事が少ないと、その人は後で苦労することになり、結果的に人を駄目にしてしまう。やりきれないと思えば、時間を大切に使い、創意工夫に富んだ人になる。だから、人を入れたとしても仕事を薄めてはいけない。

現在、都市部やベンチャー系の企業様との取引で感じるのは、明らかに時間を制限し、仕事にゴールを設定していることです。昨今、叫ばれている働き方改革を、時間短縮としてしか行っていない私は、世の中の要請にばかりでなく、“37年の経験から学んだこと”と書かれた「入社心得」にも応えていないのだと思います。
経営者としての経験が父のそれに達するまでに、私にはあと6年弱あります。それまでに、先代から引き継いだ心得に加えて、私の代で学んだ次世代に伝えたいことを一つでも多く積み重ねたいと思います。

プラスデコ代表 原田 学