社長の思いつ記 2020.9

 皆さんこんにちは。お盆が明けてからも暑さが続きますね。夏の疲れは残ってないですか?「withコロナ」「afterコロナ」とは言うものの、感染が収まらない状況では仕事上の移動や面談の制限が緊急事態宣言の頃に逆戻りな感じで閉口します。すでに多くの経済対策が講じられているし、これ以上に補償の余裕がないとすれば、「経済は止められない」の政治の本音はよくわかります。願わくば、検査体制だけは超拡大してもらって、リスクの少ない人には目一杯動いてもらうような大方針と方法さえ示してくれたら...、と素人考えに及んでしまいます。

 そんな訳でコロナ禍です。お盆休みは子供たちと、「それぞれに実になる時間を過ごそう」と申し合わせて帰省をやめてもらいました。その代わり、初めて息子の部屋の様子をテレビ通話で案内してもらったり、娘の子供の様子をムービーで送ってもらったり、読んだらいい本などを紹介し合いました。

 そんなのんびりとしたこの夏、心に残ったのは若い人たちの清々しい生き方、考え方です。春の選抜高校野球大会が中止になり、夏の大会も見送られました。ほぼすべての学生の部活動が制限されて、多くの大会も同様です。3年生にとっては学生最後の目標を戦うことなく失った。捲土重来を期したり、先輩の無念を晴らそうと続けた努力を解き放つ機会がなくなったのです。この挫折感、無力感は私にはとても想像できません。こんな状況でも、葛藤しながら再スタートを切る彼らの報に接すると思わず胸が熱くなる。彼らは悔しさや不安の中にも、「今自分に出来ること」を考え、新たな目標を設定したり、けじめの方法を自ら決めて自主練習に取り組んでいる。あるいは、別の形で自分たちを表現する機会を作ろうとしています。

 ただひたすらに、「鈍りたくないんです」と練習を続ける剣道部3年生。「あの空間、あのメンバーで練習する時間が幸せだったんだ。」(テニス部3年)、「自分たちがこんな経験をしたからこそ、もっと強く生きていけるんじゃないか。自分の未来はこれからなんで。」(バレー部3年)、「いつ、何が起こるかわからない。今できることは今のうちにしよう。それは一緒になって下を向くことでじゃない。頭と気持ちを整理して前を向くこと。」(野球部3年)

 しばらく我慢さえできればコロナ禍は過ぎていく…そんな大人の甘えが私にはある。翻って、彼らにはそんな思いは微塵もありません。3年の夏は一度きり、今、ここでそれぞれの答えを見つけようとしています。負けてるぞ!私。学生競技には必ず3年引退の期限がありますが、このことに私たち大人は倣うべきだと思う。自らの仕事に期限を設けて、全力でぶつかって答えを得る。そして次へ進む。「ある時代に共有された常識」を意味する“パラダイム”と言う言葉がありますが、アメリカの科学史家トーマス・クーンは『科学革命の構造』と言う著書で次のように言っています。「古いパラダイムが、新しいパラダイムに移り変わるためには世代交代が必要である」クーンは明らかに世代交代だけが世の中を変えると言っていますが、楽天的に人の進化を信じるならば、若い彼らに涙してフォローできる大人もまたそれに加担できる。ウィズコロナの時代、過ぎ去るのを待つのでなくピリオドを打つ。そして新たに始める。 未来を信じる若者と同じくファイトできるか?それが問われ、イエスと誓う2020年の夏でした。  

プラスデコ代表 原田 学