私のイチオシ、紹介します!『カフネ』

『カフネ』  阿部暁子(著)    出版社:講談社

カフネ

2025年 本屋大賞を受賞した小説を紹介します。

弟を亡くした野宮薫子が、弟の元恋人である小野寺せつなの勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝いながら、「食」を通じてせつなと絆を深めていく物語です。薫子とせつなの、異色の家事代行コンビによる小気味よいやりとりが可笑しくて、次々とページをめくらずにはいられません。そして、二人の繊細な関係性の変化と最後の選択に、驚きの余韻が今も残っています。

また、作中に登場するどの料理にも愛がこもっていて、心までお腹いっぱいになりました。
食べることは「生きること」。人と繋がること、寂しさを抱えながら生きること、そして人に優しくすることの難しさと温かさで溢れた物語だと感じました。

ポルトガル語の「カフネ」という言葉をこの本で初めて知ったのですが、なんてやわらかくてあたたかい素敵な言葉なのだろう、と思いました。
人生のふとしたときに思い出す、きっと一生忘れない物語。ぜひ手に取って読んでいただきたいです!

プレゼンター 久保山 遥