日本の寝具の始まりは 筵「むしろ」

寝具の長い歴史の中で、布団が一般に普及したのは案外最近のことです。
 奈良時代、今でいう敷布団は筵(むしろ)と呼ばれ、素材は藁や萱、形状はゴザのようなものでした。平安時代に薄い畳を何枚も重ねた八重畳になり、室町時代には現代のような藁床の畳に発達しました。

平安時代の寝具

戦国時代、軍事目的から綿の栽培が全国的に広まり、綿入り大型着物布団の夜着(よぎ)が登場します。しかし綿は出回る量が少なくかなり貴重で、夜着1枚が30両以上(約600~900万円)と超高級品でした。
安い輸入綿により綿布団が庶民に広まり始めたのは明治期で、藁布団を使っていた農村部も含め広く綿布団が普及したのは、なんと昭和に入り、戦後しばらく経ってからです。

昔の日本家屋は夏の暑さをしのぐ造りで断熱材もなく、当時の短い寿命を察すると、冬の寒さは相当にこたえたのではないでしょうか。暖かい布団で寝られるって幸せですね。