私のイチオシ、紹介します! 『スキップ』

『スキップ』 北村 薫(著)  出版社:新潮文庫

スキップ 

主人公は17歳の女子高校生、一ノ瀬真理子。彼女はうたた寝をして目を覚ますと25年もの歳月を“スキップ”して、42歳になってしまう。気がつくと、夫と17歳の娘がいるが真理子の記憶は17歳のまま。女子高校生がいきなり大人になり、その間の記憶を持たない状況はとても残酷に思えます。

スキップ前の年齢に戻りたいと思いつつ、大人の分別も持たねばならない矛盾を抱えながら、教師として自分の世界を生きる道を見出そうとしていく前向きな姿が、私は素晴らしく感じました。

性別を明らかにしない著者は、デビュー前は国語教師で"美しい日本語"も読みどころです。42歳になった主人公が使う台詞が素晴らしく、日本語の綺麗さを感じさせられます。そんなところも含めて、老若男女を問わず楽しめる本です。

プレゼンター プラスデコ 蟹澤