社長の思いつ記 2015.5

皆様こんにちは。待ちに待った桜は冷たい雨に散らされてちょっと残念な4月でしたが、お楽しみは続きますね。このゴールデン・ウィークはどのようにお過ごしでしょうか? 思い出一杯、最高のGWになっていることをお祈りしています。


さて、当社の建材卸部門の取り組みに5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の実践があります。製造業では当たり前の5S活動ですが、販売ビジネス中心の当社では行きつ戻りつの難題です。そんな状況を打開すべく、同業でフランチャイズの加盟店仲間でもある、マドリエ川崎さんの取り組みを勉強に行きました。


 この視察でズシン!と胸に響いたのは、心を整えることの重要性です。整頓が行き届き、見た目がきれいな“カタチ”と心(社風)は同期しているのだと感じました。その根幹を貫くのは経営理念、「顧客繁栄第一主義」です。“顧客満足”を謳う企業は少なくありませんが、“顧客繁栄”を理念に掲げるとは...。NCCでも、「私たちの仕事の成果は自社にはない、それはお客様の現場に表される。」としているので、この理念には共感できるのですが、当社のそれよりはるかにシンプル、分かり易い!(整理 = 1Sされてる!)
さて、同社の5Sのスタートは、潮田健次郎著『熱意力投』に記された次の一文にあったと言います。


「私は優良企業とはどういう会社かと聞かれたら当たり前のことが60%できている会社であると答える。そして当たり前の実行の最大の関門は、当たり前のこととはどういうことか決めていない」
社長は、これだ!と思い、当たり前を決めていくことに5Sのテーマを絞り込みます。当社でも「当たり前だろ!」とは言いながらも具体的には決めていないことが多いのでこの点は耳が痛かった!


また、在庫が極端に少ないことも驚き。この理由もムムム、と唸ってしまいました。それは、受注してからの発注に極限までこだわっているから。卸売では在庫は持つのが当たり前、開封しない限り、返品された商品でも在庫として再販待ちになることは当たり前ですが、同社ではそれを許しません。返品された商品は再販売しないというのです。その理由はこうです。住宅という商品は施主様が時には生命保険付きのローンで購入する、文字通り命をかけた買い物。それを返品された商品でまかなうことがあってはならない。その住まい向けに真剣勝負で調達した、まっさらな商品をご用意するのが当社の仕事である。また、一所懸命に仕事をとった建築業者様から頼まれた商品を、黒子である私たちが、引き上げ商品を再販することで穢すことはあってはならない、と。


どんなに注意はしても、受けざるをえない返品はあるようですが、そのときには社員さんが涙ながらに廃棄をするそうです。これは信念に従うところだから、損得の問題ではないと社長は言います。そして、この悔し涙が卓越した業務オペレーションを作っていきます。業務は標準が定められ、ルール通り運用されているかが全てトレースできる。誰が組み立てたか、誰が運搬したか、誰が搬入したか。搬入に際しても、納品書だけでなく、傷などないことをチェックリストにより確認して顧客に連絡する。正直、今の当社にすぐには真似できない仕組みです。


社長さんからはこんな話も頂きました。「大人に許された最大のチャンス、それはカンニングです。企業視察でも、セミナーでも、普段の生活でも、良いなと思ったら真似することが私たちには許されているから。」
学ぶとは変わること...私が社員さんによく言うことですが、今日は自らに「会社の当たり前を決めよ」と叱咤しています。せっかくの機会を得て、「決める」「やってみる」。四の五の言わずに、ともかくスタートです。

(プラスデコ代表:原田 学)