社長の思いつ記 2019.7

 皆さんこんにちは。うっとうしい梅雨空にへこんでいませんか?でも、待ち遠しい夏を迎えるのに、雨だってなくてはならない模様の一つ。「これもまた良し」でいきましょう!(もっとも、雨で心踊ることだってありますね)

 さて、皆様の職場では働き方改革は進んでいますか?当社では就業時間の短縮はもちろんですが、働きたくなる改革の検討をはじめました。米ギャラップ社が実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」が6%しかおらず(米国は32%)、さらに、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達するといいます。日本生産性本部の今年の新入社員働くことの意識調査でも、「働き方は人並みで十分(63.5%)」「好んで苦労することはない(37.3%)」が過去最高を更新したとのこと。熱意ある職場を求めるなど、もう無理!日本はどうなっちゃうの?と心配になります。

 でも、どっこい、こんな回答もありました。「社会や人から感謝される仕事がしたい(93.9%)」、「他人にはどう思われようと、自分らしく生きたい(84.5%)」 1980~2000年ごろに生まれたミレニアル世代は人や社会のために仕事をし、そんな生き方に自分らしさを求めているのです。これって、「若いのにスゴイ」。ここにフォーカスしないで、当社の働きたくなる改革はありません。若い人にとって上司は「指示をする人」「上に成果をアピールする人」にしか見えていないとしたら、ここは改革のポイントです。「上司は部下と一緒になってどう結果を出すか、部下をどう成長させていくかを考える人」になる。そして、「上司は私たちのこの仕事がいかに世の中の役に立っているかを明確にして伝える。」

 稲盛和夫氏は著書『生き方』の中で、仕事(人生)の結果=考え方×熱意×能力と説いていますが、今の当社はこの最初の「考え方」が社内で十分に伝えられていません。そう感じたのは、社内研修で講師が質問した「NCCの営業のこだわりは何か」に即座に答える受講者がいなかったからです。彼らの答えは、「会社がどうかは分りません、私としては○○...。」後ろで見ていた私は、「ちょっと待って!いつも言ってるよね?」と口を出したくなりましたが、いつだって評価は他人です。私がするべき仕事がこれで明らかになりました。

 もう一つ。私は社員さんが目標設定をするとき、自由に大きな目標を掲げることを良しとします。翻って、私は働き方改革をどう考えたか。はなから、“流通業で年間休日120日は難しい”とか、“直行や直帰は社内の規律上、基本的に許さない”とか、やたらに固定観念に縛られていました。皆にはゼロ発想で考えよ!と言いながら自らの制約はゼロにしない。問題はこれです。トップをはじめ、リーダーの固定観念。これを払わねば!

 「初心忘れるべからず」は「始めた時の初々しい気持ちを忘れないように」という意味で理解されますが、この言葉を残した世阿弥は「折あるごとに古い自己を断ち切り、恐れず変化し続けなさい」という意味で「初心」を用いました。過去の自分を断ち切る難しさを知っていた世阿弥は、能楽師が初心と向き合う「披(ひら)き」の仕組みを作りました。披きとは、師匠が弟子に、それまでのやり方ではできない演目を命じることだそうです。

 年間休日増も、新規事業も、売上計画も、業界常識や固定観念から自由な“ありたい姿”として描けているか。わが社の働きたくなる改革はそこです。社員の皆が“当社が大切にしていること”を問われたら、誰もが自慢げに答え、個人としても多くの賛同を得られるような志ある会社。その時には他社とは全く異なる働き方が実現しているはず。どんな制約からも自由に考えられることこそ、ナイスコミニケーション。う~ん、楽しくなってきました。

プラスデコ代表 原田 学