私のイチオシ、紹介します! 『賢者の贈りもの』

『賢者の贈りもの』 O・ヘンリー(著)  出版社:新潮文庫

元気ライフ 賢者の贈り物 

アメリカの小説家O・ヘンリーは生涯に約280作もの短編を著し、短編小説の名手と言われています。本作は人生の悲喜劇をユーモアとペーソス豊かに描いた16編を収録した傑作選です。中でもお勧めしたいのは、彼の代表作で表題の『賢者の贈り物』。

貧しいながらも互いを想う若い夫婦が大切な物を手放してまでプレゼントを贈る、温かな愛を描いた素敵な作品です。
そのほか、身代金目的で誘拐された子供と誘拐犯のドタバタ劇が可笑しい『赤い酋長の身代金』、大富豪の叔父が金銭感覚のない自堕落な甥に遺した遺産を巡る『千ドル』も秀逸です。心情描写の豊かさに加え、時代や登場人物、生活の匂いまで感じられるほどの細やかな描写は、タイムスリップしたかのような不思議な感覚に。時間を忘れて没頭できる一冊です。

プレゼンター 蟹澤 弘一