社長の思いつ記 2018.1

新年あけましておめでとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございました。
 皆様はどのような元旦の計を揚げられたでしょうか。私は新年の決意を一年を通じて忘れないよう毎月誕生日を節目としてその実践状況を確認することにしました。
 さて、決意の内容はと言うと、「物分りの良い上司」からの卒業です。物分り良かったっけ?と社員さんから野次が飛びそうですが、「社員さんの進言には耳を傾けるべき」のような「すべき」の枠に囚われるのは私の弱点で、特に「相手に理解されにくそうな」対策などは、このすべきの枠を理由に自ら「したい」の旗を降ろしがち。もちろん、「したい」は私のためではなく、お客様やチームやメンバーの未来を思ってのことなのですが。
 年末の会議でこんなことがありました。当社ではお客様との関係作りのために、1日の面談数を目標の一つにしています。この目標は営業パーソンの自由な活動を制約するので厳しい目標です。「今どき量より質だろ!」「じっくりと仕事を進められない」など疑問の声は多く上がっていて、私はこの目標を個人の申告制に変える方針を出しました。しかし、この決定は「自主的な目標設定でモチベーションを上げるべき」の「すべき」の下に、「難しいことに創意工夫で挑戦し、乗り越えて欲しい」の思いをすり替えたことは否めないのです。物分りの良い上司でいる、居心地の良さを選んだと言ってもいい。引き換えに妥協した自分に悶々とする思い...。
だから2018年、私は早々に方針転換します。あらためて、「したい」を皆に伝えきりたい。
 これは、ある先生から静岡聖光学園ラグビー部の話を聞いたから入ったスイッチでもあります。同校は今では全国大会常連校ですが、何と練習時間は1日60分、使えるグランドは1/40強くなるための環境と言われる優秀な指導者も選手も、充実した施設も十分な練習時間も何ひとつ無いのです。チームを任された星野明宏監督は、「1日60分しか練習できないから足りない」ではなく、「60分しか耐えられない密度の濃い練習にすれば良い」と考えました。順番を待つような練習はなくし、2~3人を1組にして休みなく動き続ける練習へ。移動は全てダッシュにすることで練習としてのダッシュは割愛。監督の指示を受ける際には前頃の低姿勢を取ってタックルの動作練習を兼ねます。短時間でスタミナをつけるのは限界と見るや、疲れ難い効率走法を取り入れ、走りのキレイさは同校の特徴のひとつとか。制約があるからこそ他校にない逆転発想・圧倒的創意工夫力発揮し、選手は差異化ある強さを得ていく。恵まれた環境にすら思えます。
 職場で働き方改革を進めるのに時間短縮は、セットですが、時間がなくて大変そうだから目標を緩くしようの発想は未来を閉じてしまいます。現在の活動に複数の機能や意味を持たせられないか、あるいはいっそ止められないか。担当エリヤやルート変更は?面談以外のお客様との接点開発はできないか等々、今までと異なる取組みにこそ、お客様にご支持頂けるチャンスが広がるはず。一方で、情報編集力や成果の出せる提案力を養うのに型を守る量稽古はサボらない。人としての未来の成長を楽しみに目の前の物分りの良さとは決別する。AI(人口知能)やインターネットは更に進化し、人との関わりは更に進化し、人との関わりは更に希薄化していきそうです。そんな時代だからこそ、人間味が必要になってくると言えます。人間味が必要になってくると言えます。人間にしかできないことは何か、人間らしさとは何か。効率や生産性の下に疎かにしがちな一手間こそ「人手間」として丁寧に扱いたい。
「なんか分らんけど、無我夢中な原田さんが言うなら仕方がない」と共に歩んでもらえる、時に正しくはなくとも愛嬌ある上司へ、人へ。正しさや「すべき」の枠より、相互関係のなかで、楽しく成果出せる私をスタートさせたいと思っています。

                      (プラス・デコ代表  原田 学)