社長の思いつ記 2023.3

夜が明ける時間が日に日に早くなってきました。最近は日差しの濃さをしっかりと感じて、コートを脱いで外に出る時間も増えています。いよいよ春ですね! 皆さまがどんな春を感じていらっしゃるかも訊いてみたいなぁ。

さて、日本でセブンイレブンを展開した鈴木敏文さんが長野県出身ということもあって、私は経営者の端くれとなってから、ずっと憧れを抱いていました。仕事を考えるときには、「鈴木さんならどうするだろうか」とか、「セブンイレブンならどうやるだろうか」と考え、浮かんだ答えをヒントにもしてきました。本の読み方も、鈴木さんが、「普通の人は、本に線を引くとき、〈自分の考えと同じだ〉〈なるほど、そうか〉という部分に引くかもしれないが、私は、〈なぜだろう〉〈わからない〉〈どうして著者はこう考えるのか〉という箇所に引く」と聴き、それに倣ってきました。自分の世界を広げるために読む本や得る情報ですから、このアプローチの方が正しいと思ったのです。
鈴木さんの座右の銘は「変化対応」や「常識を打ち破れ」、だそうなので、「そうだ、そうだ」に安住していては、 変化に対応することも常識を打ち破ることもできなかったと合点もいきます。

鈴木敏文さんに憧れていると言いましたが、私自身を振り返ると、肝心な場面では現状に甘んじて、自分を変えずじまいだったと反省します。ほしい結果よりも、どう見られるかやいい人でいることを選択する私の弱さを、「長所を伸ばす・活かす」という世間の甘言に寄りかかって、苦手なことや短所に目をつぶるように生きてしまいました。
(やりたいことはやるけれど、やりたくないことからは逃げてきた!泣)
それなのに、高校や大学を卒業する予定の方と採用面談させてもらうときには、彼らの「苦手」や「短所」を私は必ず質問するのです。その目的は、多くの苦手や短所が、練習不足なだけのことを知るためで、その点の克服の方が人としての底上げ(成長)につながりやすいとわかっているのですから、完全に自己矛盾です。

お世話になっている先生からも、「多くの人は、短所は仕方がないとして手をつけず、長所を伸ばそうと考えますが、たくさん体に良いものを摂っていても、少しの毒で人は死んでしまいます。よほど特別な長所でない限り、その人の人生は長所ではなく短所によって決まっていくと思います。」と言われます。
本当にその通りで、私が人を見るときにどこに目が行きやすいかと言えば、その人の短所です。水を汲もうとして大きな蛇口の前に陣取るよりも、バケツに大きな穴があるならそれをふさぐ方が先決です。どんなに実務に長けた人でも、和を乱すような人柄なら一緒に仕事はしたくありませんし、どんなに売上を上げるのが得意な人でも、事務処理や集金がルーズで不正確では、得意の部分が台無しになってしまいます。

自分を強化したり、変えていくのに、「長所を伸ばす」よりも「短所や一番足りないものの克服」を選ぶ方が先決だとわかれば、「長所を伸ばす」ことを、「短所はそのままでよい」とは読み代えられません。

今年は始まってまだ2か月。年初に立てた私の目標や重点課題を、「やりたいこと」ではなく、私の短所や一番足りないものの克服に差し替えたら...
そうイメージすると、明らかに内容は変わりますが、それに合わせて私や会社が変わる可能性も大いに感じます。
今までのやり方でほしい結果が手に入らないなら、違うやり方に替えてそれを得ようとするのは道理です。今までに安住する生き方よりも、私や会社の成長にとって、苦しさやカッコ悪さがあっても、殻を破り続ける生き方。
そのための私の短所、一番足りないことの克服を今なすべき課題にしたいと思います。

プラスデコ代表 原田 学