私のイチオシ、紹介します! 2016.3

                                              『風が強く吹いている』

三浦しをん(著)/ 新潮文庫 

 

 今年の箱根駅伝は、青学大が優勝して見事連覇を達成しましね!私が紹介する本は、そんな箱根駅伝を題材に書かれた青春ストーリーです。同じ大学に通い同じ古アパートに住む10人が、ある日をきっかけに箱根駅伝の出場を目指すことになるのですが、10人のうち7人はまともに長距離を走ったこともない素人集団。最初のうちは無謀な挑戦に不満や諦めなど、メンバーの心はバラバラで衝突を繰り返します。しかし、毎日の厳しい練習で少しずつ成果が出てきたことで、お互いを理解できるようになり徐々に仲間との絆を深めていくのと同時に、夢を追いかける充実感に気付きさらに練習に打ち込んでいきます。物語の前半は、箱根駅伝の出場がかかる10月の予選会。クライマックスで、果たして出場できるのかハラハラドキドキです。そして後半は、レース本番の2日間について、1区~10区を走る10人それぞれのレース振りに加えて、抱えていた心の葛藤や本当の想いが織り交ぜられて書かれており、どんどん引きこまれていきます。

 (岡)