今一度、素直になる

皆様こんにちは。時の過ぎる速さに焦っ!を横におけば、季節は待ち遠しい春へと移っていきます。雪かきいらずの今冬でしたが、反面では水不足を心配する声も。立場を変えたり時間軸を遠くにみれば、良し悪しなど簡単には量れませんね。私は自分のことを素直だと思っていましたが、嬉しいとか良かったとか、自分にとってのいいとこどりを考えちゃうので、ホントは全然素直なんかじゃないのかも。目の前の事実を自分基準の損得で一喜一憂せずに、なにごともニッコリ受け止めてはじめることが素直な人のありようでしょう。

 こんな話からスタートするのは、ある縁で見学にお邪魔したリーダー研修の影響です。その見学先とは、渋温泉にある春蘭の宿さかえやさん。旅館甲子園を連覇した経験を持つ学び続ける旅館さんです。リーダー研修とは言っても参加者は20代中頃の若者が中心、仕事柄か半数を女性が占めています。わが化学業界と比べて、まずその若さと女性の華やかさに驚きました。

 研修はリーダーが学んだことを現場で実践し、欲しい結果とのギャップをシェアすることで進みました。講師はリーダーに質問を繰り返す中で、学んだこと・実践の事実・欲しい結果に至らない理由をあぶり出し、リーダーは学んだことの再認識や実践における難点、部下それそれぞれの強み弱みによる処方の違いを得ていきます。

現場で起きているリーダーの仕事のPDCA(P計画し、D実践し、C振り返って、A修正する)を早回しで見るような展開は見学者の私にとっても実践的でとても新鮮でした。

 今回の一例では、提起された問題の仕分けがなされました。問題には4つのタイプがあるといいます。一つは問題を問題と思っていないで起こる問題、二つに問題だと思っていてもその解決方法がわからないで起きる問題、三つに解決方法も知ってはいるが「自分では解決できない、無理だ」とあきらめてしまって起こる問題、最後に問題を放置することで自分に得があることで起こる問題。これらの基本を理解しているリーダーさん達は今回の問題が1番目の問題であることを確認し合いました。部下にはそれができるのに、大したことではないと高を括ってやらなかったり後回しにしてミスをしてしまう。誰しも注意をして嫌われたくありません。リーダーは当たり前のことほど、わざわざ注意しなくても相手の「わかっているだろう」に期待します。「嫌われても注意するか」「関係を悪くしたくないから注意しないか」。リーダーなら躊躇する場面ではないでしょうか。

 ここでの講師のアドバイスは意外ですが的確なものでした。“どちらが良いかに答えはない、「注意する」と「関係は悪くしない」の両方を求めるリーダーが正解”。そのために足りていないものを考え、求めるべきだというのです。このケースでは、部下の将来にとってこの問題こそクリアすべき問題であると知らせ、その応援者として現場で何をするかが具体策として決められていきました。

 私はときにリーダーは嫌われ役となっても仕方がないと思っていました。どこかで役割の違う部下には理解できないこともあると勝手にあきらめていた。でもこんな理屈や言い訳は私が努力をしないですむためのものです。これって素直じゃないですね。注意もするけれど関係も良好でいたい。ホントはそう。素直なアプローチは、欲しい結果を間引かないで、実現に向けた不足を必死で考え、その充足を求める。たとえ厳しい注意でも、その先に共通の夢あるチームならやすやすと関係は壊れません。リーダーの責任は簡単にあきらめないこと。向かうべきビジョンと現在の不足とメンバーへの求めを明らかにすること。私の歳の半分にも満たない若者の素直さは学んだとおりにリーダーの役割の核心に迫っていきました。

 彼らに学びたい「ありたい姿」への真っ直ぐさ。今一度、素直になって。     

プラスデコ代表 原田 学