第61期 プラスデコ事業スタートして早17年

  早朝のウォーキングには手袋が欲しいと思うほどに秋が深まってきました。世間では来年10月の消費増税と軽減税率に関する話題も多くなりましたね。我が家の食卓に限って言えば、冷蔵庫に残して結局捨ててしまう食材さえ無くせば2%の増税は乗り切れる!の持論に、妻は閉口。皆様はどのようにお考えでしょうか。 早朝のウォーキングには手袋が欲しいと思うほどに秋が深まってきました。世間では来年10月の消費増税と軽減税率に関する話題も多くなりましたね。我が家の食卓に限って言えば、冷蔵庫に残して結局捨ててしまう食材さえ無くせば2%の増税は乗り切れる!の持論に、妻は閉口。皆様はどのようにお考えでしょうか。

 さて、当社はこの10月で61年目を迎えました。昨年の同じ時期に私は、「次の30年に向けて、この一年をお客様の声に耳を傾けて、プロとして業界のタブーや非常識に分け入る年にする」と言いました。次の30年は見えた?と問われたら、「まだ...」と囁くほかないですが、「守る・つくる」と決めたことはあります。 よほど儲からない業界なのかどうかはさておき、61年をもってして、当社は工業用塗料ディーラーとして長野県最後発です。工業薬品や塗料の流通は薬品ルートが担っていた古い業界で、わが社の創業当初には有名ブランドの販売権の多くは既存の販売店が握っていました。

 弱小メーカーや新参メーカーの取引と問屋経由の割高な仕入しかできない先輩たちは、お客様の困りごとに一直線で、その声に応えようと新しい材料、変わった方法にこだわりました。お客様から、深夜まで生産ラインに入り浸った先輩たちの昔話を聞くと、当時から「売りっ放しでない」が他社との違いであったことが分ります。商品力に頼れないから、お客様に懸命に向き合った。だからこそ、入社間もない社員でも仕入先様との自由な取引や新たな取引先の開拓が許されてもいました。自分で信じた道をお客様と歩めるから苦労しても楽しい。自由に仕事を組み立ててお客様に応える個人商店の集まりで良い が、わが社の創業時のスタイルでした。
 不易流行。お客様のお困りごとに一直線で、新しいもの・変わったもの好き、挑戦好き。そのためには店主のように振る舞える。このことは私たちが守るべき大切な哲学であると言ってよいでしょう。

 そして、つくっていくもの。お陰さまで、多くのブランドと直接で優位性ある取引ができるようになりましたが、それは先輩方の貯金とも言えるものです。「それで、どれだけもつか」は考えない。現在、不自由なく仕事ができる以上の「希望」を次の30年でいかに生み出すか。
 そのためには学んで変わること。忘れて繰り返すのでなく、意識的に繰り返して忘れない=新たな良い習慣を積み重ねて欲しい結果を得る。「明日の私は今日を越える」と念じて歩み続ける社風が、これから「つくる」ことの一つです。プラス思考だとかマイナス思考だとか、無意識に私たちを既定する過去から自由で、失敗経験やそのときのマイナス感情の集積から未来は計らない。未来は常に新たな可能性によって過去のストーリーとは異なると信じる企業でありたいのです。化学も技術も発展し続けます。しかも、創業時には想定しなかった海外メーカーの台頭もある。そこにお客様の「困った」の悩みや「頼むぞ!」の期待ある限り、今の枠組みをいち早く解体して、新たなパートナーシップや可能性で再構成する。過去や現行システムからのフリー度においてNo.1であることは希望あるための重要なポイントです。

 帝国データバンクの調査によれば、“優良企業でも輝ける期間は10年”とあります。失敗の本質が過去の成功によることからすれば、10年を一単位として、その事業への革新を図る必要も見えてきます。プラスデコ事業はスタートして早17年。明らかに劣化が進んでいるとの自戒が必要です。事実、デザイン性と機能性の面では、この数年テーマとしながら具体的な新たなご提案をお客様にご案内できていません。 

 この責任は私にあります。業界の先端を知りつつ、経験のある分だけそれに鈍感でいた。私自身が先端にいる人たちとの交流において、「面白がり」「面白がられ」「一緒に仕事をしてみたい」、そんなふうに言ってもらえる人でなくては。「守る・つくる」。それは何で、それはどうやって。正しさではなく、楽しいこととして私はどんな見本を示せるだろう。次の30年のスタートにあたり、ワクワクと緊張と。希望はそこから始まります。

プラスデコ代表 原田 学