敬意ある仕事

 皆様こんにちは。楽しいゴールデンウィークは過ごされましたでしょうか? 消費税が8%に上がったとは言え、日ごとに買い控えなどの反動減は緩んでいるようです。多少の出費は自分へのご褒美とか、未来への投資と考えるといいですね。例年、私のGWは定期昇給の最終決定に向けた準備に充てるのですが、昇給をお客様に喜んでもらうためのパワーアップ費用と考えれば、前向きに受け止めることができています。

 さて、社員さんのパワーアップと言えば会社で行う社員研修が頭に浮かびます。これまでは営業を対象にすることの多かった当社ですが、『お客様との接点』を考えると、電話応対やご来社頂いた際の接客、ホームページやダイクレトメールでの情報発信など、いわゆる内勤メンバーが担当する接点は少なくありません。というわけで今期の研修はお客様接点を持つ内勤メンバーを対象に行うことになりました。社内での呼称も今までは「事務職」「事務員さん」などと呼んできましたが、これからは、「お客様サポート」「お客様担当」と呼び変えて仕事を捉え直すことになります。

 社員さんには、黙っていても良き接客を学び、自発的に仕事に活かしてくれることを、身勝手にも社長の私は望んでしまいます。そのような仕事をしてくれたら褒めたい気持ちも満々。では、私はどうしてそう思うのでしょう? その答えは、一緒に働く仲間として、役職や職種、年齢や経験にかかわらず『仕事ぶりへの敬意』を感じていたいからです。

 社員さんは例外なく、「やりがいある仕事」を求めています。あわせて、遠慮や“失敗したらどうしよう”の迷いもあります。だからこそ、私は、『愛されるお客様との接点』とは何か、『お客様担当として果たすべき使命』は何かを示さなくてはいけませんでした。新たな役割を果たすのに、これまでのやり方を捨て、新たな手法を学び、無意識レベルでできるようにするトレーニングは欠かせません。新たな業務習慣に更新することは、今までを否定することにもなるのでこれはとてもキツイ。それでも、社員さん一人ひとりの仕事を、「あの仕事は簡単」とか、「誰でもできる」のような、敬意なき仕事として放っておくことはできません。

 かつて、ソニーの最先端の工場で困っていたのは、トイレの落書きだったそうです。当時の工場長は、落書き防止の通知を繰り返しましたが、いっこうになくならない。ところが、ある日を境に、パタリと落書きがやみます。さて、その理由とは? それはパートのトイレ掃除のおばさんが、蒲鉾の板二、三枚に、“落書きをしないでください。ここは私の神聖な職場です”と書いてトイレに張ったから。工場で働く人にとって、トイレ掃除が敬意ある仕事に変わった瞬間がここにあります。トイレ掃除を神聖な仕事としたのは、トイレ掃除に宿したおばさんの真剣さ。

 お客様に向かう全ての仕事が真剣になされ、敬意を表すに足るものであるように今の業務を再設計する。こんなことを宣言してしまうと、社員さんは俄然ハードルが上がって困るかも知れませんが、紛れもなく当社のこれからのテーマです。お客様から良きお声を頂ける、そんな日を信じて、明るく元気に新たなプラスデコづくりに取り組んでいきます。

プラスデコ代表 原田 学