野村ノート

 皆さん、こんにちは。インフルエンザの予防は万全ですか? 新型コロナウィルスの蔓延が連日マスコミを騒がせていますが、感染力や致死率の低さを冷静に受け止めて、できることを丁寧に行っていきましょうね。皆さん、こんにちは。インフルエンザの予防は万全ですか? 新型コロナウィルスの蔓延が連日マスコミを騒がせていますが、感染力や致死率の低さを冷静に受け止めて、できることを丁寧に行っていきましょうね。

 2月11日、野村克也さんが逝去されました。現役時代を知る方は少ないと思いますが、今となれば、王さんや長島さん以上にファンは多いのではないでしょうか。監督としても弱小球団を優勝に導いたり、落ち目と言われるベテラン選手を再起させたり、多くの球団に請われ手腕を発揮していく野村さんを私は心から応援していました。私が判官びいきなこともありますが、野球少年だった頃のパ・リーグはほんとに不人気で、本人が言う通り、巨人の王さんや長嶋さんをひまわりとすれば、野村さんが日本海に咲く月見草だったのは間違いなかったからです。私は少年時代から高校野球までのポジションがキャッチャーで、捕手寄りな野球観を示す彼に共感もしていました。そんな野村さんが指導者として脚光を浴びていくのはホントに嬉しかったし、野球界に限らず多くのリーダーが彼に学んでいるのも事実です。かく言う私もその一人。“勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし”は結果を振り返るときの私の礎となっています。原理原則を学んで、それに逆らわないことが最も近道であることを確信しているのも彼の教えに共通しています。訃報に接し、思わず本棚に並ぶ『野村ノート』に手を伸ばしました。15年前に読んだ本ですが、懐かしくページをめくっていて憶えのない見出しに出くわしました。「意識と無意識」。そこには無意識が人を支配していること、選手は本能(言い換えれば無意識)でプレーしがちなので、そこに意識を注入する必要が説かれていました。どこまでか、無意識化するまで。彼のID野球は野球理論を超えて、人間の脳の癖までも踏まえた総合的なものだったことがわかります。なんともスゴイ。また、この本の冒頭には感謝の重要性が記されていて、“今の選手に最も欠けているのは感謝の心”と指摘しています。合わせて、ヤクルト2軍グランドのロッカールームに貼られている次の言葉が紹介されています。

 

「おかげさまで」 *一部省略しています。

夏が来ると冬がいいと言う、冬になると夏がいいと言う
太ると痩せたいと言う、痩せると太りたいと言う
忙しいと暇になりたいと言う、暇になると忙しい方が良いと言う
自分に都合の良い人は良い人だと褒め、自分に都合が悪くなると悪い人だと貶す
上を見て不平不満に明け暮れ、隣を見ては愚痴ばかり
どうして自分を見つめないか、静かに考えてみるが良い
いったい自分とは何なのか
親のおかげ 先生のおかげ 世間様のおかげの塊が自分ではないのか
俺が俺がを捨てて、おかげさまでおかげさまでと暮らしたい

 

おかげさまで

 

 

 

ヤクルト春季キャンプの野村監督の講義を池山隆寛選手がノートに残したもの。
十年ほど前、縁あってコピーさせてもらいました。120ページ以上にわたっています。

 

 野村さんは多くの名選手を育てたけれど、教え子たちから届く悲しみの声が印象的なのは、人生の礎となった彼の指導への感謝が綴られている点です。「“頭を使うと弱い奴でも上にいける”と言う考え方の持ち主」と語ったID野球の申し子である古田敦也氏のコメントも興味深いものでした。学問のすすめ、そのものです。改めて、私が感謝するべきこと、するべき人を静かに想います。憧れ、応援した人とのお別れに寄せて。

プラスデコ代表 原田 学