社長の思いつ記
2024年 新年のご挨拶
あけましておめでとうございます。旧年中は格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございました。
いくつになっても、年が改まると希望に胸が高まるのは、この一年への期待が改めて生まれるからなのだと思います。あとは、この一年に私たちのどんな計を具体化するか、ですね。
私はうまくいかないことがあると落ち込んで、するべきことをサボってしまうことがあります。そんなときには顔色に出るし、いつも笑顔という訳にもいきません。もちろん、相手を思いやる余裕すらなくなっています。「泥かぶら」というお芝居や絵本をご存じの方も多いかもしれません。今年は、その話に倣って、自分の嫌いなところを修正する一年にしようと思っています。泥かぶらの話をおさらいさせてください。
ある村にいた少女は孤児で、家もなく、色は真っ黒、髪はボウボウ、着物はボロボロで身体は泥だらけ、 その醜さゆえに、「泥かぶら」と呼ばれています。子どもから石を投げられたり、唾を吐きかけられたりして、 少女の心は日一日とすさみ、顔はますます醜くなり、粗野で荒々しい子になっていきます。夕日を見ながら悲しくなって、「美しくなりたい!」と叫んでいる泥かぶらに、旅の老法師が通りかかりました。そこで、彼女がきれいになる方法を教えてくれます。
自分の顔を恥じないこと、どんな時にもにっこり笑うこと、人の身になって思うこと。
「この3つを守れば村一番の美人になれる」と信じた泥かぶらは、その通りの生き方をしはじめます。村一番の美人でお金持ちの庄屋の子から「助けてほしい」と頼まれた罪は肩代りし、喘息持ちの老人には山奥に入って薬草を取って来てやり、子供が泣いていたら慰めてあげる。彼女は人の嫌がることでもニコニコしながら次から次にしていきました。そうなると、村人たちの泥かぶらへの見方もどんどん良くなっていきました。彼女の心も穏やかになっていき、あれほど醜かった表情が消えてなくなっていきました。村人のために労をいとわずに働く泥かぶらは、次第に村人にとってかけがえのない存在になっていったのです。
ところが、そんなある日、村に恐ろしい「人買い」がやってきます。人買いは借金のかたに、一人の娘を連れていこうとしますが、泣き叫ぶ娘の姿を見ていた泥かぶらは、人買いの前に出て、自分を身代わりにしてくれと頼みます。こうして、売られていく泥かぶらと人買いとの都への旅がはじまりました。
そこでも彼女は、法師から言われた、きれいになる3つのことを忘れませんでした。旅の途中、何を見ても「素晴らしい」、何を食べても「美味しい」と喜びます。どんな人に会っても、その人を楽しませようとします。「売られて行くというのに、おまえはどうしてそんなに明るくしていられるのだ」不思議がる人買いに、泥かぶらは、自分の心にある美しく、楽しい思い出だけを、心から楽しそうに話して聞かせるのでした。そんな彼女の姿に人買いは、激しく心を揺さぶられます。
「親に捨てられ、家もない娘が不幸でなかったはずはない。それなのに、誰に対しても恨みごとを言わず、むしろ村人たちに感謝さえしている。この自分にも、楽しい話ばかりして喜ばせようとしてくれている。ああ、自分のこれまでの生き様はなんだったのか」
月の美しい夜に、人買いは彼女に置き手紙を残して、そっと姿を消します。
「お前のおかげで、私の体の中にあった仏の心が目覚めた。ありがとう。仏のように美しい子よ」 泥かぶらはそのときはじめて、法師が示してくれた教えの意味を悟り、涙するのです。
私たちには、それぞれになりたい私たちがいると思います。そのためにするべきことも知っていることがほとんどです。そんな私でありたいという希望も期待も膨らむ今、この一年を確かに計りたいと思います。
皆様の2024年が、多くの夢の実現とご健康でかけがえのない年となりますことを、心よりお祈りしています。
プラスデコ代表 原田 学
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